フアイア抽出物はmiR-203を抑制し、ATMの増加を通じて内分泌抵抗性乳がん細胞の増殖能を抑制する
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フアイア抽出物はmiR-203を抑制し、ATMの増加を通じて内分泌抵抗性乳がん細胞の増殖能を抑制する
論文情報
発行年: 2017年
掲載ジャーナル: Scientific Reports
DOI: 10.1038/s41598-017-07550-9
試験対象(疾患): 内分泌療法抵抗性乳がん
試験対象動物: ヌードマウス
概要
この研究では、フアイア抽出物が内分泌療法に抵抗性を示す乳がん細胞の増殖を抑制する効果を検討しました。実験の結果、フアイア抽出物は細胞周期のG0/G1期での停止を誘導し、miR-203の抑制を介してATM(アタキシア・テランジエクタジア変異)タンパク質の発現を増加させることが明らかになりました。さらに、マウスモデルにおいても腫瘍の成長抑制効果が確認されました。
要約
①問題提起
内分泌療法に抵抗性を示す乳がん細胞の増殖抑制方法の探索。
②必要性
内分泌療法抵抗性は治療失敗や再発の主因であり、新たな治療法が急務。
③方法
フアイア抽出物を用いて乳がん細胞の増殖、細胞周期、ATMおよびmiR-203の発現を評価。
④結論
フアイアはmiR-203を抑制し、ATMの発現を増加させることで乳がん細胞の増殖を抑制。
⑤便益
フアイア抽出物は内分泌療法抵抗性乳がん患者への新たな治療オプションとなる可能性。
解説
乳がん治療において、内分泌療法はエストロゲン受容体陽性の患者に対する主要な治療法です。しかし、治療中に薬剤耐性が生じることが多く、再発や治療失敗の原因となっています。この研究では、伝統的な中国医学であるフアイア抽出物が、内分泌療法に抵抗性を示す乳がん細胞に対してどのような効果を持つかを調査しました。実験の結果、フアイア抽出物は乳がん細胞の増殖を抑制し、細胞周期をG0/G1期で停止させることが明らかになりました。さらに、miR-203という分子を抑制することで、ATMタンパク質の発現を増加させ、これが細胞増殖の抑制に寄与していることが示されました。マウスを用いた実験でも、フアイア抽出物の投与により腫瘍の成長が抑制されることが確認され、内分泌療法抵抗性乳がんの新たな治療法としての可能性が示唆されました。
関連する試験画像
⑥ 関連する試験画像
Figure 1
Figure 2
Figure 3
Figure 4
Figure 5
Figure 6
参照論文リンク
⑦ 参照論文リンク
PubMed(要約)
Europe PMC(全文)
Nature(全文)
(こちらはOpen Accessのため、元文献が上記リンクより閲覧可能です)
※正確な論文の解釈をするためにも原文を読むことをお勧めいたします。