フアイア多糖体はフェロトーシスを制御しドキソルビシン誘発性急性心毒性を軽減する
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フアイア多糖体はフェロトーシスを制御しドキソルビシン誘発性急性心毒性を軽減する
論文情報
発行年: 2022年
掲載ジャーナル: Bulletin of Experimental Biology and Medicine
DOI: 10.1007/s10517-022-05644-7
試験対象(疾患): ドキソルビシン誘発性急性心毒性
試験対象動物: マウス
概要
本研究では、フアイア多糖体(HP)がドキソルビシン(DOX)による急性心毒性を軽減する効果をマウスモデルで検討しました。HPの投与により、DOXが引き起こす心筋損傷やフェロトーシスの進行が抑制されました。特に、フェロトーシスのマーカーであるグルタチオンペルオキシダーゼ4の発現増加が確認され、フェロトーシスを調節する作用を通じて心筋の保護が可能であることが示唆されました。
要約
①問題提起
ドキソルビシンの使用に伴う心毒性を軽減する方法が求められている。
②必要性
抗がん剤治療の副作用である心毒性は患者の予後に重大な影響を与える。
③方法
マウスモデルでHPを投与し、心毒性軽減効果とフェロトーシス制御を評価。
④結論
HPはフェロトーシスを調節することでDOX誘発性心筋損傷を軽減した。
⑤便益
HPは抗がん剤治療における心毒性軽減の新たな選択肢となり得る。
解説
フアイアは伝統的な薬用キノコであり、その抽出物であるフアイア多糖体(HP)には多様な生物活性が知られています。本研究では、抗がん剤ドキソルビシン(DOX)の副作用である急性心毒性を軽減するHPの効果が検討されました。マウスを対象とした実験では、DOX投与により引き起こされる心電図異常、心筋損傷、さらには細胞死の一種であるフェロトーシスの進行が、HPの投与により抑制されることが明らかになりました。また、フェロトーシスの抑制に関与するグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)の発現が増加し、フェロトーシスを介した心筋損傷の軽減メカニズムが解明されました。これにより、HPはドキソルビシン治療の副作用を軽減する新たな治療法として有望であることが示されました。
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参照論文リンク
PubMed(要約)
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Springer(全文)
PubMedCentra(全文)
(こちらはOpen Accessのため、元文献が上記リンクより閲覧可能です)
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