フアイア抽出物の前処理がシスプラチン誘発性腎毒性を防ぐ

発行年：2018年
掲載ジャーナル：Scientific Reports
DOI：10.1038/s41598-018-25610-6
試験対象：マウス
試験対象動物：ヌードマウス

概要

この研究は、抗がん剤シスプラチンの副作用である腎毒性に対するフアイア（Huaiqihuang）抽出物の保護効果を調査しました。フアイアは、Trametes robiniophila Murr.、Lycium barbarum、Polygonatum sibiricumの混合物です。マウスを用いた実験で、フアイア抽出物の前処理がシスプラチンによる腎障害を著しく軽減し、腎細胞のアポトーシスとネクロプトーシスを抑制することが確認されました。また、炎症性サイトカインTNF-αの生成を抑制する効果もありました。これらの結果から、フアイア抽出物はシスプラチン療法を受ける患者に対する腎保護効果を持つ可能性があります。

要約

①問題提起
シスプラチンの使用に伴う腎毒性を軽減する方法を探求しました。

②必要性
シスプラチンは有効な抗がん剤ですが、その腎毒性は治療の大きな制約となっています。

③方法
フアイア抽出物をマウスに投与し、その腎保護効果を調査しました。

④結論
フアイア抽出物はシスプラチン誘発性の腎障害を軽減し、炎症を抑制することが確認されました。

⑤便益
この研究結果は、シスプラチン療法を受ける患者に対する腎保護戦略として役立つ可能性があります。

解説

この研究は、シスプラチンという抗がん剤の副作用である腎毒性を軽減するための新しい方法を探求しました。シスプラチンは、多くの種類のがんに対して非常に効果的な薬剤ですが、その使用は腎臓に対するダメージによって制限されます。研究チームは、フアイア（Huaiqihuang）と呼ばれる中国の伝統的なハーブ混合物に注目しました。この混合物は、Trametes robiniophila Murr.、Lycium barbarum、Polygonatum sibiricumから構成されており、これらの成分はそれぞれ腎臓保護効果があると考えられています。

研究では、シスプラチンを投与されたマウスにフアイア抽出物を前処理として投与しました。その結果、フアイア抽出物は血中尿素窒素（BUN）の増加、腎間質の充血、急性腎尿細管障害、尿細管細胞のアポトーシスおよびネクロプトーシスを著しく軽減しました。さらに、フアイア抽出物はシスプラチンによって誘発される炎症性サイトカインTNF-αの生成を抑制する効果も示しました。これらの結果は、フアイア抽出物がシスプラチン療法を受ける患者に対する有望な補助療法であることを示唆しています。

関連する試験画像

https://www.peeref.com/works/5998305

論文情報

https://www.nature.com/articles/s41598-018-25610-6
https://www.peeref.com/works/5998305

（こちらはOpen Accessのため、元文献が上記リンクより閲覧可能です）
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